鴛鴦呼蝉庵日乗

2006.07.22  関根正直「近体国文教科書」

 ここのところ、浜本先生の依頼で、関根正直と「近体国文教科書」について調査。関根正直については後日。これもいろいろとあるので。
  関根正直の「近体国文教科書」は、上下巻が明治21年3月31日に発行され、発行兼印刷は十一堂。発行所は中央堂。
その後、明治22年3月31日に三之巻、四之巻が発行され、発行所は十一堂。
最初に2巻本を刊行して、翌年に続編を刊行したと思われる。

関根正直「近体国文教科書」上巻、下巻、三巻、四巻

標目の( )は本文による。出典の( )は本文による。出典の後の「 」は翻刻者(黒川)による。

近体国文教科書上巻
修行の心得、 松木直秀 琴園漫録
老人の言は、経験より出づ。 荒井尭民 梧坡教諭
小児の才芸、頼み難し。 橘 南谿 北窓瑣談
善を誉むるも、妄りにしがたし。 北窓瑣談
人の信偽は、おのが心のまゝ也。 柳澤淇園 雲萍雑志
時刻をはかるは、怠る者のわざ、 雲萍雑志
さまざまのなりはひ、 雲萍雑志
魚鳥の食、 伊勢貞丈 秋草
餝り太刀、 冬草
書札文字の死活、 菅 茶山 筆のすさび
難字はかなにかくべし。 三浦浄心 慶長見聞集
知を開くは、学問の効、 貝原益軒 大和俗訓
一つ宛勤めて、事を仕遂げよ。 大和俗訓
人に交はる道、 大和俗訓
身は世をわたる舟、 大和俗訓
世俗の怪談、すべて実なし。 大和俗訓
卑下にも程あり。 大和俗訓
平生心がくべきこと、 家道訓
妻のつとめ、 家道訓
身の程を知りて、楽しむべし。 家道訓
無益に時を失ふことなかれ。 楽訓
けふの日を惜むべし。 楽訓
人は恥心あるをよしとす。 熊澤了芥 集義和書
唐崎の孤松、 瀧澤馬琴 蓑笠雨談
稚児の教養、 中村タ斎 比売鏡「比売鑑」
女の四徳、 姫鏡「比売鑑」
志づかの貞烈、 室 鳩巣 駿台雑話
むかしの士風、 駿台雑話
細川幽斎文武のほまれ、 新井白石 藩翰譜
結城秀康関東の大将を承る。 藩翰譜
(結城)直政初陣の時母の誡め、 藩翰譜
大江廣元を論ず。 読史余論
北條泰時奸僧を逐ふ。 読史余論
封事の大意、 折焚柴の記「折たく柴の記」
近体国文教科書下巻
節倹の訓、 安藤年山 年山記聞
自棄のいましめ、 年山記聞
歌学は、師伝を要せず。 太宰春台 獨語
古き唱歌、鄙俗ならず。 獨語
寛永の頃、江戸の風俗、 獨語
屏風表具の類ひ、画の方よし。 中山三柳 飛鳥川
太平の世を楽しむ。 醍醐随筆
僧日初の著書、 伴 蒿蹊 近世畸人伝
矢部正子の伝、 近世畸人伝
松女のみさを、 藤井懶斎 壷の石ぶみ
韻の反切を、あしく扱ひたる話し。 清水濱臣 油々筆話
国字解のさた、 石原正明 年々随筆
眉そり歯くろめ、 年々随筆
皇国の事を、知らぬ学者、 本居宣長 玉かつま「玉勝間」
詩の読みやう、 玉かつま「玉勝間」
書籍の貸借、 たまかつま「玉勝間」
後世の事物、古代にまさる。 玉勝間
神のめぐみ、 玉勝間
手習ひの始め、 伴 信友 假字の本来
四方拜の由来、 藤原兼良 公事根源
朝覲御幸の例、 公事根源
初雪の見参、 公事根源
賢人君子は、国の寶、 小夜のねざめ
女とて、あなづるべからず。 小夜の寝覚
(小人)の黨を立つるはよからぬ事なり。 小夜のねざめ
一飯の恩も報ゆべし。 小夜のねざめ
人として父母なきものなし。 文明一統記
物真似のとが、 東齋随筆
行成卿人と争はす。 東齋随筆
隠岐のかり宮 小島法師 作者詳ならず
(太平記)
小山田高家、舊思を報ず。 太平記
武夫の、勢力を得しさま、 太平記
神徳と、皇恩とを思ふべし。 源 親房 神皇正統記
後三條天皇記録所を置かる。 神皇正統記
国民の、王事に勤むるは、功とするに足らず。 神皇正統記
臣民のつとめ、 神皇正統記
文藝は、民を導くに要樞なり。 神皇正統記
後醍醐天皇、朝権を回復し給ふ。 神皇正統記
三種の神器のゆくへ、 神皇正統記
近体国文教科書三
正月の門松 藤井高尚 松の落葉
左袵の服 松の落葉
絵馬の額 松の落葉
国名に某州又某陽など書く事 石原正明 年々随筆
京都を洛陽又長安といふ事 年々随筆
初春のけしき 年々随筆
孝女微妙 松平容敬 皇朝二十四孝
犬追物の古儀 作者未詳 徳川氏御実記附録
安宅丸上覧 徳川氏御実記附録
時勢の遷変 伊達千広 大勢三転考
藤原氏の威勢 大勢三伝考
足利氏の治世 大勢三伝考
志だに致さば何事か成らざらん 林羅山 徒然草野槌
高陽親王機関木偶ヲ造ル 作者未詳 今昔物語
百済川成飛騨ノ工ノ技術 今昔物語
僧長秀医ヲ兼ヌ 今昔物語
博雅三位蝉丸ノ庵ヲ訪フ 今昔物語
貧女歌ヲ詠ジテ鏡ヲ売ル 今昔物語
巨勢広高ノ地獄絵 今昔物語
下衆ノ男前妻ニ恵マル 今昔物語
佐渡ノ国人知ラヌ島ニ漂流ス 今昔物語
越後ノ浜ニ小舟漂着ス 今昔物語
逆臣入鹿誅ニ伏ス 今昔物語
天武天皇と大友皇子の御事 源隆国 宇治拾遺物語
伴大納言応天門を焼く 宇治拾遺物語
戦中の連歌 橘成季 古今著聞集
蟷螂後にあり 古今著聞集
須磨のあま人 西行法師 撰集抄
歌は面白し読人はをこなり 撰集抄
歌の風致を論ず 荒木田久老 信濃漫録
池の藻屑の跋 荒木田麗女 池の藻屑
近体国文教科書四
旧都ノ月 作者未詳 源平盛衰記
故郷ノ花 源平盛衰記
浮島ゲ原ノ対面 源平盛衰記
宇治川の先陣 源平盛衰記
扇ノ的 源平盛衰記
藤房卿のすてぶみ 藤原吉房 吉野拾遺
弁内侍の秀句 吉野拾遺
孝子隈王 吉野拾遺
三種のすすき 鴨長明 無名抄
朝政ノ儀式 作者未詳 続古事談
寒夜ニ御衣ヲ脱キ給フ 続古事談
菅公善宰相ノ言ヲ納レズ 続古事談
信西入道唐音ヲ学フ 続古事談
高麗王名医ヲ我ニ求ム 続古事談
地頭ノ名義 続古事談
白拍子舞ノ評 続古事談
野見宿禰創めて埴輪を造る 藤原忠親 水鏡
仏法始めて渡る 水鏡
延喜帝世間の過差を制し給ふ 作者未詳 大鏡
佐理卿手跡のほまれ 大鏡
花山院風流におはす 大鏡
梅花のあるじ 大鏡
道ある御世 増鏡
跡なき雪 増鏡
志賀の浦波 増鏡
笠置山の時雨 増鏡
入相の鐘 増鏡
よつの緒 増鏡
あまの釣船 増鏡
舟のうへ 増鏡
立かへる波 増鏡

  これから研究する人のために、記録。なお、上下巻については早稲田大学の古典籍データペースで画像を閲覧できます。早稲田大学に感謝。三、四は架蔵のを参照。

 紀要の発送。多くの方にお世話になりました。坂口、熊谷、寺崎、幸田さんと久しぶりに。といっても、数週間前ですが。

[今日の記録]
睡眠時間:6:30就寝、7:30起床、1:00時間。
天気:曇
最高気温:28度

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