鴛鴦呼蝉庵日乗 2003
  2003.02.22 墜ちる

 「ピンポン」観ました。レンタルで。スマイルはペコを待っていたのですね。ずっと。ヒーローだから。昔と同じように、一緒に楽しいことをする、でも、スマイルはペコの本当のことを知っていたのかもしれません。だから、ずっとスマイルはペコの元を離れなかったのでしょう。きっと、いっしょに何かするから。だけど、周りとの関係で騒がしいから、いらいらしていたのではないでしょうか。本当に楽しいこと、本当にうれしいこと、それを忘れているのは、別の視点が入るからです。ずっと走っていると、走ることが手段になってしまいます。走り続けていて、いつも自分のことで走っていればいいのに、周りに事を考えると、どうにもならなくなることがあります。だから、ふと考え方を変える必要があります。
 価値観を変える。いや、そういう大きな事ではなくて、視点を変えることになります。自己改革というのか、そんなにかえることではなくて、ほんの少し、考え方を変えていくことです。それで、被害妄想や疑心暗鬼も消えていきます。いつも同じように考えて、ぐるぐる思考をすることは、考え方が固定しているのと、価値観が変わっていないからです。だからこそ、悪く考えることを少し明るくする、辛いことも試練だけど、自分を成長させるという考え。それが大切。もし、それをどうにかするなら、自分を最高の状態か、あるいは最低の状態の反動を利用します。

 私の場合は、最低に墜ちることが足りなかったようです。今まで最低の状態に墜ちていたと思っていたのですが、どうもそれは中途半端でした。最低の状態に墜ちること、それから上がることもあります。「ピンポン」の場合のペコは、最低の状態に墜ちていましたが、しかし、それでも、周りは期待していました。だからこそ、最低の状態から上がることができました。それと同じ事がいえそうですね。何人と話していて現状から脱却するには時間だと言いつづけてましたが、実は違っていたようです。時間のためには、自分の状態を上下していくことでした。それは、極端にまで挙げるか、極端にまで下げる。いわば、最低と最高のピークを感じるのです。ブランコも同じで、振幅を大きくすると、収束していきます。でも、振幅を大きくしないと、次の大きな振りはできません。だからこそ、今、振幅との時です。最低の状態にいることから、振幅できる、そのためには救う人、無償の声、あるいは、自分の目標を思い出す。昔の原点の時の気持ちを思い出すことです。

 気をつけないと、演技と依存とに負けている人の罠にはまります。冷静に考えれば、事件から離れようとしているのに、事件に近づいている人がいます。それは、事件との関わりをきちんと整理できていないからです。その葛藤を自分で気づかないのです。だからこそ、苦悩がある。整理できれば、なんともない。それに気づくには、整理して、事の経緯を整理することです。そして、最低の状態から回復することでしょう。その周りには愛情が必要ですし、絶対的に信頼だと思います。他人の。あとは待つだけですね。心が整理するまで。

 先月から再びの最低の状態をどのように克服するか、そう考えたら、最低の状態が私にはなかったのだと気づきました。そういうことなんですね。傷のなめ合いではいけなかったのですよ。同情でなくて。ということですよ。わかりましたか。といったって、わかるのは自分だけですね。気づくことは大切だったという話。自己完結の典型でした。いや、完結してません。まだまだ。トンネルを抜けていないのはわかっているのですが、出口がどっちにあるか、わかってきたのです。それだけでした。


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