鴛鴦呼蝉庵日乗
2005.08.16  個人と全体

 時間があったので、しばし草原を歩きました。草原ではなくて、草の原っぱですね。かなり高い水草などが生えていて、1m50cmぐらい、あるいはそれ以上はあったでしょうか。風の強い日だったので、ざわざわと音を立てていました。で、歩いていると、その遊歩道の両脇の草は倒れているのです。風の強さがもしれません。ですが、立ち並んでいる草は風を受けていても、倒れる気配はありません。たぶん、遊歩道の草は根元など風を全身を浴びてしまったのでしょう。それで倒れたと思われます。他の要因もありそうですが。
  一方、集団で生えている草は、頭あたりが風でなびいても、全体を吹かれることはなく、倒れる気配はありません。
  会社員やスポーツも似ています。一人が全てを背負っているのではなくて、集団の場合は、その人は一員で、全体でがんばっているわけです。オーケストラで、シンバルだけが出演機会が少ないから給料が安いというのも、一部ではありますが、基本的には同じ給料です。全ての人が揃うことで、一つの商品を提供しているわけですから、その差を付けることはありません。会社で、能力別賃金ということもありますが、それは、ベースにいくら上乗せするかということです。でも、いろいろな人がいてそれぞれの仕事があって、それで全体でよくなっているわけで、収益の大きな場所もあれば、小さい場所もあります。全部が全部そうではありませんが、全体で風を受けて守る、進むというのは、日本の典型例かもしれません。
  能力別というのは、効率的ないい方法ですが、部分を分担している場合は、いいことではないようです。

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