鴛鴦呼蝉庵日乗 2003
  2003.08.18  秋の虫の音 
 

 夜になって、ふとラジオを聴き終わってから、窓を開けると、涼しい風が入ってきました。それと同時に秋の虫の音が。ここ数日の涼しさは、寒さと言ってもいいぐらい、10月の陽気でした。陽気というのか、冷気というのか、定かではありませんが、ただ、その涼しい風は、すでに季節が秋に向かっているのを語っています。
 しかし、去年も、そう、お盆を過ぎると秋の虫の音が聞こえました。今年もそうですね、お盆を過ぎればもう、秋へと進みます。東北では農作物の例外が心配です。農作物が不足であるとき、それは作物だけではなく、人の健康にも影響します。それだけ天候が不順だからです。作物を摂取できない栄養の問題ではなくて、健康の問題だと思います。

 太陽をしっかり浴びた作物は、それだけ栄養もしっかりしていると言われます。今日は、遅い昼食を蕎麦屋に行きました。時折行く蕎麦屋は、農薬をあまり使わない、初期の除草剤しか使わないそば粉で、手打ちで、注文してからゆであげる店なので、店に入ってから食べるのに20分程度かかります。しかし、味はいいですね。ただ、8割でもないので、濃厚な味はありません。
 濃厚の味なら、別の店があります。住宅地にあるので、あまり知られていませんが、10割の蕎麦があります。10割とは、つなぎといわれる小麦粉がなくて、そば粉のみで作ります。それゆえ、ぼろぼろと切れやすいのですが、何度も練っていくことで、ちゃんとした蕎麦になります。その味は風味がいいですね。
 そしてなんといってもそば湯。ねっとりとして、コーンスープと同じ濃さです。味もしっかりしていて、いいのです。そば湯だけでもいただけるのが、すごいですね。そういうこだわりがある店がちゃんと残っていることがうれしいのです。
 職人ワザを機械にしていくと、退化していきます。それは、人の退化ではなくて、文化の退化です。文化の退化は、枠を作り、その枠の中でしか作れないという創造性をなくしてしまいます。それゆえ、退化とは、人の感情を抑えてしまう可能性を秘めています。
 ある出版社から次々と出されるシリーズかあって、それはすべて内容が異なるはずなのに、しかし、同じように三角関係や親密になりたくても、他人との関係を保つなどの構造が似てしまっています。似ているということは、その似ている枠であるからこそ、楽しむという世界になってしまいます。それは、矮小化された世界にこそ、自分を投影してしまうことになりかねません。
 むしろ、自分とはどういう考えをしているかのをしっかりと受け止めて、自分を見つめていくこと、自分の良さを見ていくことが必要だと思います。
 嫉妬やねたみは自分にないものをうらやましく思い、それが、かえって、自分とのギャップで憎く思ってしまうことです。それえ、ねたむことには、自分が何に妬み、何を欲しているかわかります。自分とは何かを知るにはちょうどいいチャンスです。
 人間関係が上手い、技術が上手い、表現が上手い、外形がきれい、頭がいいなどということは、すべて、自分との対比であり、それは自分を見つめる鏡として存在すると思います。
 その反対で、好きなモノにも自分の意識が反映されます。反映されること、それは、自分とは何かを知っていくことです。好きなことをしていることで安心するのは、枠の中にあるのではなくて、自分の枠を知ったからです。自分とは何かがわからないのは不安です。
 鬱もそうですね、他人との比較において、人間関係において、いろいろな問題から鬱となります。他人との関係があるからこそ、人は悩みますから。
 他人と自分との関係は、自分の意識の相対であるので、いつでも自分のことに還元されてしまうからこそ、辛いものです。

 表現していくことで、自分が見えてくるとはいつも言うことです。表現し続ける人は、自分と戦いをしていくのですから、その継続、力、意欲はその人の個性です。だからこそ、表現しようとする人は応援したいのです。そこから見えてくる自分との戦いがあるからですね。
 でも、表現すると不安なのは、自分の表現を他人が受け入れてくれるかです。だからこそ、自分の表現について、よかったとか、評価を与えてくれるとうれしいものです。それは、なんでもうれしいのではなくて、自分の表現で特に理解して欲しい点を理解してくれたこと、それはわかりやすさではなくて、心で汲んでくれることですね。想像などです。それで、自分の価値を理解してくれたという自信になります。
 話をしても、書いても、それらの表現には、常に表現者と理解者があって、それは交互に入れ替わります。その入れ替わりがあるからこそ、楽しいのですね。話をすることは、楽しいことだと、昨日の田近先生の研究室での話もそうでした。
 同じ価値で話をする同士で、何か作れるといいと思います。それは、今も思いますね。何か記録することで、自分たちの行動が見えてくるから。さて、何がいいでしょうか。

 今日は、どうも仕事をしてもはかどらず、それでも一応のことはやりました。そうしたら、どうも具合が悪く、蕎麦でなんとか保ったものの、夜には、パソコンの前でうたたねしていましたが、かえってよくないようです。最近、水分が不足しているようですので、水分をしっかりとりたいと思います。
 お茶だと、どうも利尿作用が強くて、かえってカフェインの影響が出てしまうようです。子どもの時は濃い味が好きでしたが、大人になってからは、薄味になりました。だから、水の方がいいかもしれません。

 ふと、新聞で読んだのですが、北海道の真昆布は、料亭などの高級料理で使われるそうです。一度、上級の昆布と鰹で、出汁を作り、煮物やつゆをつくって、そば、うどん、雑煮など作ってみたいと思います。おいしい出汁は、うれしくなりますね。いや、時間があれば、じっくり作ってみたいと思います。

 おせっかいと、アドバイスは紙一重なので、どうしたらいいか迷いますが、しかし、自分でありつづけていくことで、自分の意味があるのかもしれませんね。

 4:00就寝、7:30起床、3:30睡眠。昨日までと違って、睡眠時間が日常になってしまいました。

 本日購入のCD。
「ほしのこえ サウンドトラック」
「ほしのこえ ドラマCD」
 特に気に入ったのではなくて、ああいうしみじみとした内容はひかれます。

 TRICK3が10月からと。いや、楽しみです。


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