鴛鴦呼蝉庵日乗 2003
  2003.04.15 自分の中に

 美しさはどこにあるか。美しいと思うものがあるとします。たとえば、タレント。借りにAとして。Aは今をときめく美しい人ということになっています。もし、そのAに美しさがあるならば、誰が見ても美しく感じることになります。では、Aをアフリカのある国にぽんと置いたら、その土地の人々は美しいと感じるでしょうか。あるいは、1900年前の日本に置いたら、そのAを美しいと感じるでしょうか。あるいは、動物園の象の前に置いたら、Aを美しいと象は感じるでしょうか。もし感じないとしたら、それはAそのものに美しさがあるのではなくて、Aを美しいと感じる人が、心の中にAを美しいものであると認識していることになります。つまり、自分の中にイメージを作成し、そのイメージで価値が決まるのです。すべては主観であるからこそ、素材に美があるのではなく、素材に美を見いだすことになるのです。そうなると、美の価値観は感性によって行われていることになります。理性ではなく、感性です。
 勉強もそうです。理性で勉強を行うなら、だれでも勉強できます。しかし、学習に集中できないなどの現象は、感情によって行われていることになります。

 こういう感性や感情が個性を作る基盤ではないでしょうか。


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