鴛鴦呼蝉庵日乗 2003
  2003.02.25 引きこもり

 引きこもりは、ヒッキー、などと言われます。引きこもることはよくないことであるから、それを改善すべく、行政も動きました。引きこもり状態のための学校やカウンセリングも盛んです。本来学校に通う、企業に勤める人が、何かしらの精神的に理由で家に引きこもる。それは、異常な事態と今の社会でも言われるのでしょう。しかし、引きこもることは、引きこもる場所が存在します。昔は居場所がないので、外で遊んだこともありました。そういう状況に比べてれば、自分の部屋があり、そして引きこもっても、生活できる裕福な状態が引きこもりことなのではないでしょうか。人生に辛い状況があって、引きこもるどころか、生活して食べていくために、働き続ける若い人もいます。生活苦の状況で、引きこもることはできませんでした。体調が悪い場合は別です。
 精神的な理由でも、戦後に戦地から帰ってきて、引きこもる状況は記録にあります。精神的な疲労の時に引きこもります。それは、心が引きこもろうとするのです。それは、自然な流れではないでしょうか。引きこもるとは引きこもる場所と時間がある、ある意味で裕福な状況です。そういう状況では、引きこもることは、めぐまれた状況での精神的な安らぎを求めている状態だと言えようです。


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