鴛鴦呼蝉庵日乗
  2002.10.13 集中
 試験前になると、部屋を片づけたくなる、新しいものを買いたくなる、漫画を最初から見たくなる、本を読みたくなる。そんな現象があります。現実逃避と言えば、そのもの。試験前になったら、集中して読書ができる、それは集中力。時間がないからこそ、時間を有効に使うもの。時間がないとあせりますが、集中力が増します。時間がありすぎると何をしていいかわからないことがある。そんなことと、集中力は比例すると思います。集中しているときは、自分の発想をメモしても、短期間のうちに沢山のことを書くことが出来ます。それは、書きたいという気持ちがたまっているから、どんどん書けるのです。論文もそう、日記も、エッセイも、物語も、書きたい気持ちがどんどん書いていきます。集中とき気持ちと比例します。試験前になったら、やたらと書く量が増える、読書量が増えるというのも、それは読みたい気持ち、書きたい気持ちが高まっているからです。その力を大切にしていくと、それは自分の能力を知ることになります。勉強という与えられたことではなくて、自分から何かをみつけて本を読む、構想を練る、それが自分の力です。
 いままで時間をかけてできなかったことが、この短時間でできるようになる。そういうために、自分を乗り越えていく。自分のためにがんばる。そういう力を持つ、そんなことができるチャンスがいろいろあります。そのチャンスをどうるすか。短い時間、残された時間はわずかだから、がんばる。そういう活力になると思います。
 現実逃避なら、読書に走らず、寝るとか休むとかになるでしょう。現実逃避はいわば、現実逃避による新しい活力の創造として捉えることができるのではないでしょうか。見えるもの、見えないもの、そしてわからないもの。そういう自分の力を知るチャンスではないでしょうか。

 自己評価、自分とは何か、自信をつけること、それはだれにでも欲しいものです。しかし、それを得るためには何かしら努力が必要。なにをしていけばいいのかわからない人には、待つこと、試すこと、そのための道路標識が必要。それがアドバイスというものでしょう。はたして、自分はどこまでできるか。他人に対して何かをするのは無力です。結局は本人が動くから。だからこそ、身近な人の力が必要です。身近とは話せると言い換えてもいいでしょう。

 食事をしながら「ウォーター・ボーイズ」の特典CDを見ました。本編が96分なのに、特典が160分というのも、すごいですね。短編映画が入っているからそうなるのでしょう。いや、おもしろかったですが、そこまでやるのかという驚きもあります。

 作品を解説することは、作品に価値を加えること。しかし、作者は作品に思いを凝縮したのに、それについて解説するのはどうかと思います。むしろ、その力を新たな作品にしていくことがよいと思うのですが。作品を作り続けること、それが作者の生命だと思います。研究者は研究を、作者は作品を。それぞれがそれぞれの作ることを作っていくこと、それが複合的に、総合的に文化を支えるのでしょう。

 文化とは自分の生き方。それはだれも否定できません。誰にもそれを止めることはできない。だから、自分は生きている。そんな存在感はいつも自分のためにある。他人の力を借りる。そして、生きていく。そのために表現していく。表現は生きる力であり、表現は生きる事そのもの。だからこそ、表現は力となる。そんなことを思います。

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