鴛鴦呼蝉庵日乗
  2001.10.2 晴れ
 昨日の大雨によって、大気の汚れが洗い流されたのでしょうか、今日は久しぶりに暑く、よい天気でした。数日の秋めいた風を感じていたのに、今日は夏の名残の一日となりまして、こんな日はやはり気分のいいものです。
 天気のいい日に忙しく働くと気持ちがいいです。人は自分の生き甲斐があると、その忙しく働くことで自分を高めることができます。忙しいというのは、それは疲れということよりも、達成感なのでしょう。一つ一つ努力した達成感、その充実の度合いが、疲れを癒していきます。つまり、肉体疲労は精神的な充実感に比例するものだと思います。
  ◇
 さて、我が庵の窓の外の金木犀が例年になく咲き誇っていて、窓を開けるとその香りが部屋を潤します。あまりにも見事なので、写真に撮りました。今年は紫陽花が不調で、梅も不調でしたから、なんとかほかの花はと思っていました。クレマチスも秋の花はつけず、朝顔だけが楽しめた状態なので、金木犀の咲き誇りはなんとも、うれしい次第です。
 以前のアパートの大家さんは、盆栽をやっていましたが、子育てと同じだと言っていました。甘やかさず、適当に厳しくしてそして育てるとよいとのことでした。植木も甘やかすとよくないようですが、やはり子育てと同じく愛情が必要です。そうは言っても勤め人に花の手入れはなかなかできません。それゆえ、こんなに咲き誇るとよく育ったとうれしい限りです。
 以前、知り合いがいただいた松の盆栽は3年でからしてしまい、なかなか鉢植えはだめだったので、今あるものを大切にしたいと思っています。根気がないのと愛情の注ぎ具合の関係で、動物を飼うことをあきらめていますが、植物もやはり動物と同じくペットとしての位置があるのではないかと思ったのでした。
 ホームページでは、動画や写真などを公開できても、においまではまだ公開できません。それゆえに、想像する余地が残されているわけで、そういう想像力は必要ですから、携帯電話のテレビ電話のようになると、相手が見えてしまうので、これはこれでちょっと興ざめのところがあります。軽い想像、例えば会えない時間が好きな人への思いを募らせるのと同じく、見えないがゆえに想像できます。話をできないがゆえに思いやります。そんな思いやり、私にとっては思いやりがあるかないかということが、価値基準、つまり琴線の中心となるものなので、その思いやりの、特にさりげない思いやりがあること、それが理想でもあり、また他の人の思いやりを見つけることが楽しみでもあります。
今年の金木犀は例年になく咲き誇っています。
かなりの花の数で、窓を開けるとその香りが部屋中に薫ります。

前へ 目次へ 次へ
かくかい.net 目 次 かくかいNEWS 作者から  本  開発情報
Copyright 黒川孝広 © 2001,Kurokawa Takahiro All rights reserved.